適材適所

意味は

「その人の能力・性質によく当てはまる地位や任務を与える事」

「人の能力・特性などを正しく評価してふさわしい地位や仕事に

 就ける事」です。

社寺建築や日本家屋(古民家)等の日本の伝統的な建築物や、

それらを建築する過程での(木)の使い訳から生まれた言葉です。

ひいては、日本書記に記されているように

「宮殿建築には、檜を使え」「杉と楠は、舟に使え」

「槇は棺に使え」と木の性質をよく理解し、使用する目的を指定

している所にまでさかのぼると思われます。

それでは元々の意味にかえって、わかりやすく住宅を例にとって、下の部材から上にご説明したいと思います。

  

 まずは土台ですが、一番条件が厳しく腐朽に対する懸念が高い

所ですので、 青森ヒバ・ヒノキ・クリ・米ヒバの芯持ち材を使います。

大引き、根太、床束(床の下地材)等、一階の床になる物は、

土台と同等の材種としておきたいです。

一階の柱も土台と接しますので、出来れば青森ヒバ・ヒノキ辺りを使いたい所です。 スギも悪くはありません。

梁は松を使うとよいでしょう。松は材が大きく、強度が有り、

材積な割には安価で、梁という部位も 腐れに対する心配は

あまりありません。

二階の柱や小屋裏の束材には、軽いスギが合います。

母屋や垂木(屋根の下地)には、松。

外壁や屋根板にはやはり水が浸透してきて腐れが心配ですので、

青森ヒバかヒノキの板が良いでしょう。

ここに挙げた例はほんの一部ですが、腐朽に対する耐久性や、

強度・価格等材の特徴を生かした使い方が重要です。

内装材も同じ様な事が言えます。台所や洗面脱衣、洗濯機が置いてあるような所は、カビや菌の繁殖を抑えるような抗菌作用のある

青森ヒバや、ヒノキの腰壁が良いと思われます。

(その他の部屋でも調湿作用等があるので、もちろん効果的です)

子供部屋は南向きの、一番日当たりの良い場所に置きたがりますが、受験勉強にはいささか不向きかもしれません。

方角はあまり直射光が入ってこない北向きで、木の恩恵①にも書きましたが

「スギには大脳を刺激して、脳の働きを活発にする作用がある」

事から、 腰壁や天井にはスギの板を貼る等、部屋の用途や目的に

応じて考えるのも良いと思います。

 

これらの適材適所の考え方や、材の使い方は教科書には

書いて いません。

長年の経験を基に培ってきた大工の知恵なのです。

総ヒバ・総ヒノキ造りではあまり考える必要はないかもしれませんが(それでも材の質や部位、 癖によって使い分けが必要です)

予算もありますので、木の性質を良く知り、 使いこなせる人が

求められるのです。

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